カナダBC州政府によって運営されるオークションサイト「BCオークション」で8月2日、中古の路面電車が出品された。
トランジット・ミュージアム・ソサエティー(Transit Museum Society)に勤めるブライアン・ララビーさんによると、出品された路面電車「Car 4」は元々ベルギーの首都ブリュッセルでメンテナンスカーとして使用されていたが、再利用する目的で2000年9月15日にベルギー政府からバンクーバーの同ソサエティーに寄贈された。
バンクーバーに来た当初は黄色の車体をしており、窓はついていなかったが、同ソサエティーのボランティアとして活動していた団体の一つDowntown Historic Railway(以下DHR鉄道)、が資金を集め、窓を取り付け、他のボランティア団体と共に修復に努めた。DHR鉄道は「Car 4」がバンクーバーに寄贈された当時、サイエンス・ワールドからグランビル・アイランドを走行する2つの路面電車の運行に携わっていた。*現在、バンクーバー市では路面電車は運行されていない。
長年、同ソサエティーと関わりのあったマシュー・レアードさんはTwitter上で、「バンクーバー市が DHR鉄道を解体した時、Car 4は線路の上に留まる以外に選択肢がなかった。UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)の学生が約2万ドルもかけて新しい制御装置を設けたものの、走行する予定がないために現在は取り外されている」と話す。
ブライアン・ララビーさんは「バンクーバー市は路面電車運行のスポンサーとして都市間を走行する二つの路面電車のサービスメンテナンスを請け負っていたが、メンテナンスカーである『Car 4』にはほとんど金をかけなかった。やがてDHR鉄道はバンクーバー市による予算削減の被害を受け解体し、他に修復のためのボランティア団体も見つからなかったため、『Car 4』はほとんど運行可能な状態までに回復していたものの結果的に放棄された」と話す。当時、運行していた他二つの路面電車はサレー市、クローバーデールにあるFraser Valley Historic Railwayに移された。
マシュー・レアードさんによると、「Car 4」は2年ほど前アメリカ合衆国オレゴン州にあるオレゴン・エレクトリック鉄道ミュージアムに移動される予定だったが、移送のための書類手続きの関係で計画は白紙となり、現在に至るという。メンテナンスカー「Car 4」はバンクーバーに来てから一度も運行されることなく、今はLeg-in-Boot square付近の現在は使用されていない線路沿いの車庫に保管されてある。
現時点での最高入札額は310ドルで、オークションは8月29日の午後8時まで。