ノースバンクーバーのロンズデール・キーにあるPolygon Gallery(101 Carrie Cates Court, North Vancouver)で現在、黒人写真家たちによる写真100点超を展示する「As We Rise:Photography from the Black Atlantic」が開催されている。エリオット・ラムジーさんのキュレーションで、apertureが主催する。
大西洋沿岸に広がる黒人たちのコミュニティー、生活、文化、歴史などを黒人写真家によって撮られた写真を通して追う同展。トロント在住の美術品収集家で歯科医のケネス・モンターギュさんのプライベートコレクション「Wedge Collection」から、1930年代から2021年までに撮影された100点以上を展示する。タイトルの「As We Rise」はモンターギュさんの父が言い聞かせてきた言葉「lifting as we rise 」に込められた「自分の地位が向上したらコミュニティーの他の人も引き上げるべく手を差し伸べる」という教えにちなむ。
作品は、ハーレム・ルネサンス期の様子、植民地支配解放後のアフリカ諸国、カナダ国内でも黒人が多く移り住んだトロントエリアの人々など、さまざまな時代と場所で生きる一般の黒人の人々を写し出す。同ギャラリーのキュレーター、ラムジーさんは「展示は(さまざまな)黒人たちの人生が重なり合って作り上げるポリフォニー(多声音楽)」と表す。
「独立運動や市民権運動の歴史とカメラが普及していった時期が重なっているため、とても貴重な当時の人々の記録がクリエーティブな様式で残されたことは喜ばしいこと」と話し、「(写真家も黒人であるため)写真を見ると被写体と写真家の間にある信頼関係を感じることができるものも多い」と人々が弱い立場の中でも生き生きと力強く写る作品を見渡す。
ラムジーさんは「ブラック・アトランティックという考えの下、さまざまな国やエリアに広がる黒人の歴史と生活を、写真を通して視覚化することができた。それぞれの写真から、我々はどこから来て誰なのか、ということを考え直すきっかけにもなった」と振り返る。「膨大なコレクションの中から展示作品を選ぶのは苦労したが、展示で見ると写真集で見るのとは違う良さを感じることもできるので楽しんでもらえれば」と鑑賞を呼びかける。
開館時間は10時~17時(木曜のみ20時まで)。任意の額の寄付を入館料として受け付ける。開催中、展示に関連したトークイベントやコラージュ制作会、映画の上映なども企画する。5月14日まで。