開催中のバンクーバー国際映画祭(VIFF)で10月1日、アトム・エゴヤン監督の最新作「Seven Veils」が上映され、質疑応答が行われた。
オペラ「サロメ」を題材に、アマンダ・サイフリッドさん演じる主人公の演出家が、過去の虐待被害の記憶をオペラ作品に反映していく中で心の傷と向き合っていくストーリー。
これまでカナディアン・オペラカンパニーとバンクーバー・オペラカンパニーで「サロメ」の制作に関わってきた経験から、今回の作品の着想を得たというエゴヤン監督。サロメ役とヨカナーン役は今年の上演を終えたばかりのカナディアン・オペラカンパニーの歌手が務めた。
監督は「映画を見る人にはストーリーはもちろんだが、『サロメ』の物語の解釈、そして制作プロセスなども楽しんでもらえれば」と話す。「『サロメ』は19世紀からギュスターヴ・モローら多くの画家が題材として選び、フローベルが小説を書き、オスカー・ワイルドが戯曲に仕上げオペラになるなど多くの解釈が存在している。聖書の歴史の中で最初のファム・ファタルといえるサロメのストーリーに男性のアーティストたちが強く魅かれた理由を知りたいと思ったし、女性のアーティストの解釈でオペラを作るという話が面白いのではと考えた」と作品に込めた思いを話した。
バンクーバー島のビクトリアで育ったエゴヤン監督は、同映画祭での上映を「自分にとって特別な意味がありとても光栄なことだ」と喜び感謝を表し、上映後は熱心なファンからの質問に丁寧に返答していた。
バンクーバー国際映画祭は今月8日まで。「Seven Veils」は4日21時にVancouver Playhouse(600 Hamilton St. Vancouver)で再度上映される。