現在開催中のバンクーバー・ファッショウイークに4月23日、日本発のインクルーシブファッションブランド「SOLIT!」が登場した。
「人も動植物も地球環境も、誰もどれも取りこぼさないオールインクルーシブな社会の実現」を目標に掲げる同ブランドは、障害の有無や体型、セクシュアリティーやジェンダーなどを超えて楽しめるファッションを提供。マグネットボタンを使うなど着脱しやすく、部位ごとに好きなサイズや丈を選ぶことができるセミパーソナライズしたファッションを展開する。2020年9月に同社を立ち上げた社長の田中美咲さんは「社会には課題がたくさんあるのに新たな物を生み出すよりも、できるだけ解決する方向にいかないといけないと感じた」と起業の理由を話す。
これまでショーや展示会などは行っていなかった同ブランド。バンクーバー・ファッションウイーク運営から参加を打診された際には「いかに新しい物を売るか、というファッションショーの世界で自分たちのコンセプトは真逆なため少し戸惑った」という。しかしバンクーバーファッションウイークは多様性をテーマに掲げており、新しいブランドが多いと知り「自分たちの思いを伝える舞台と考え参加を決めた」。
ショーでは新作ではなく、ブランドのコンセプトを伝えるため既存の服を中心に16ルックを披露。「モデルとして起用されてこなかったマイノリティーの人たちにモデルになってもらいたい」と、事前に世界中から公募し選んだ多様なモデルたち6人も日本から同行し、ランウェーを歩いた。
田中さんは「多様な人に自分に選択肢があると気付いてもらえればうれしいし、選択肢のある社会にしていければと思っている。そのためには今後いろいろな企業とコラボレーションもしていきたい」と意気込みを話す。「モデルの多様性とファッションにおけるリプレゼンテーション、そしてモデルたちが自分に合った服で歩いている、というのが今回のショーを見た人たちに伝われば」とも。