バンクーバーにあるジョイ・コガワ・ハウス(1450 West 64 th Ave. Vancouver)で3月6日、庭にある樹齢約80年の桜の木をニットの花で満開にする試み「ヤーン・ボミング(Yarn bombing)」が行われ、500以上のニットの桜が老木を美しく飾った。
同所の桜の木は日系カナダ人作家のジョイ・コガワさんが幼少のころからある木。コガワさんの作品「Naomi’s tree」のモデルになったことでも知られている。Joy Kogawa House Societyエグゼクティブ・メンバーのLeonore Rowntreeさんは「この木が年を取って元気がなくなってきたので、何か(木を)元気づけてあげるようなことをしようという話がメンバーの間で持ち上がった。コガワ作品の多くに登場する桜の木を保存したいと多くのメンバーが思っている」と実施のきっかけを話す。
Rowntreeさんらのアイデアで地元のヤーン・ボミング活動家で知られるLeanne PrainさんとMandy Mooreさんの協力を得て今回のボミング実施を決定。2月から3回、桜の花を編む集会を開き、ウェブサイトなどでも協力を呼びかけたところ、バンクーバー市内、ボウエン・アイランド、カリフォルニアや遠くはオーストラリアからもニットの花が送付され、当初の予想200を上回る500以上の花が集まった。
ジョイ・コガワ・ハウスは日系カナダ人作家のジョイ・コガワさんが6歳で日系人収容所へ移住させられるまで暮らしていた家。現在はJoy Kogawa House Societyによって運営され、歴史とコガワさんの作品を伝える家として保存されている。2009年からは新人作家をサポートするWriter-in-Residenceプログラムも実施している。
Rowntreeさんは「今回のヤーン・ボミングを通して多くの人に当ハウスを知ってもらうことができたのでうれしい。コガワさんの作品を楽しんだ人に美しく飾られた木を見に来てほしい」と話す。
ニットの花は木が本物の花を付け始める4月ごろまで飾る。