バンクーバーのOrpheum Theatre (884 Granville St. Vancouver )で7月27日、ファイナルファンタジー・コンサート「Distant Worlds」が開催され、作曲家の植松伸夫さんも来加し演奏に加わった。Vancouver Opera Orchestra の演奏で指揮はArnie Rothさん。
人気ゲームソフト「ファイナル・ファンタジー」シリーズ中の曲を名場面の上映と共にオーケストラが演奏する同コンサートは、2007年以来、ヨーロッパ、アジア、北米各地で開催されている。
当日は「Swing de Chocobo」「Vamo’ alla Flamenco」「ザナルカンドにて」など1作目以降14作目までほぼ全ての作品から演奏。14作目からは「Twilight Over Thanalan」を披露した。来場していた作曲家の植松伸夫さんはシンセサイザーで特別参加。バイオリンを手にした指揮者のRothさんと共に「Dark World」を演奏し、観客から大きな喝采を浴びた。アンコールでは「片翼の天使」を観客を巻き込んだコーラスで締めた。
植松さんはコンサート前にインタビューに応じ、多数の曲を作ることについて、「ゲームのシナリオやイメージから自然と作るので特に作曲に苦労することはない。頭の中で常に何かメロディーが鳴っているので、その中から(そのテーマに合った)正確なものを探すという感じ」と説明。音楽は独学だが、「幼少のころから自宅にクラシック音楽のレコードが多くあり、CMなどで耳にした音楽の音階を変えたり、リズムを変えたりして遊ぶのが好きだった。それが下地になっているのかも」とも。
各地で好評を得ているコンサートについては、「普段オーケストラを見に行くことのない人たちがFFがきっかけで足を運んでくれている。楽器を演奏したことのない人がFFの曲を独学で弾いてくれている。FFの曲が学問ではなく楽しむための音楽の入り口になっているのなら、大変光栄でうれしい」と笑顔を見せる。
指揮者のRothさんは「ゲームの世界で聞いていた音楽がオーケストラで演奏することによって、さらに音域も広がりダイナミックなものになる。観客はそれぞれのシーンやキャラクターに思い入れがあるので、演奏中とても集中し感情移入しながら聴いているのが感じられる。これは長く続いているFFシリーズならではのユニークな特徴では」と話す。「毎回、選曲にはとても苦労する。良い曲ばかりで、ファンの希望をできるだけ多く満たそうと努力しているのだが…」とも。