バンクーバー水族館（845 Avison Way, Vancouver）で4月22日、太平洋を横断予定の長距離水泳者ベン・ルコント（Ben Lecomte）さんが館内Strait of Georgiaタンクで潜水を披露した。沿岸ゴミ清掃活動を行う「Great Canadian Shoreline Cleanup」啓発が目的。

　1998年に大西洋を泳いで渡った実績を持つルコントさん。今年の末からは東京からサンフランシスコまでの8850キロを横断する予定で現在準備を進めている。途中プラスチックなどの海洋ごみが集まる「太平洋ゴミベルト」と呼ばれる海域も通り抜ける予定で、並走する船からのライブ配信も行う。

　ルコントさんは「子どものころから海で泳いでいるが、海の汚れ方は本当にひどくなっている。子を持つ父親として子どもたちの未来のために何かをしなければいけない」とし、「多くはできないが自分が泳ぐことで海洋汚染について知ってもらい何かを変えるきっかけになれば」と泳ぐ目的を話す。

　水泳中はボートが並走しGPSで随時方向を確認。ボートでの休憩と食事を挟みながら1日8時間のペースで5カ月間泳ぐ予定。「毎日同じことの繰り返しになるので体力的なことはもちろん、メンタル面でのメンテナンスが（成功のためには）重要」とも。

　同席した同館海洋汚染リサーチプログラムのディレクター、Peter Ross 博士は「プラスチックのゴミが海洋生物に与える悪影響は計り知れない。バンクーバー島だけでもアザラシが漁業ネットに絡まったり、絶滅危惧種の亀がビニール袋をクラゲと間違えて食べて死んでしまったりするなどの報告が後を絶たない」と懸念する。

　「特にプラスチックが微粒子にまで分解され漂っているマイクロプラスチックは食物連鎖の下部に影響を与え初めており、今後どのような脅威を生態系に与えるのかは未知の部分でもある」と早急な海洋汚染対策の必要性を強調する。

　「Great Canadian Shoreline Cleanup」では協力者を募集しており、一斉清掃のスケジュールと参加方法をサイトに掲載する。