バンクーバーのクイーンエリザベス・シアター(650 Hamilton St. Vancouver)で1月29日、太鼓芸能集団「鼓童」の公演「鼓童ワン・アース・ツアー~神秘」が行われ、和太鼓の力強い響きが満席近い会場を魅了した。
カナダ5都市を含む北米ツアーの一環として行われた同公演は坂東玉三郎さんが芸術監督を務める。落とした照明にほのかな光を効果的に使う幻想的な一幕や、太鼓や笛の音とともに大蛇、獅子舞、なまはげなどが繰り広げるダイナミックな舞台演出は日本に伝わる神事、民俗芸能の神秘的で非現実的な雰囲気を表現し、観客を引きつけた。
今回の舞台に先立ち取材に応じた出演者のひとり内田依利さんは「『神秘』は出演者が芝居風の動きをし笑いを誘う演出などもある。若手が多く出演している舞台でもあり、これまでの『鼓童』とは違った新しい魅力を感じてもらえるのでは」と紹介する。
以前ブリティッシュ・コロンビア州、ケロウナに留学経験のある内田さんには滞在中に現地の太鼓グループ「やまびこ太鼓」を立ち上げた経験も。海外でも人々を引きつける太鼓の魅力を「太鼓の音は赤ちゃんのころ母親の胎内で聞いた心臓の音に似ているという。海外の人に『演奏を聴き懐かしい思いがした』との感想をもらったこともある。そこが日本人だけでなく多くの人が引かれる理由かもしれない」と話す。「自分は留学に行く前に日本らしい事が何かできたほうがいいかな、くらいの軽い気持ちで始めたのだが…」と太鼓の道へ進んだきっかけを笑顔で話した。
「鼓童」メンバーはこの後、米カリフォルニア州に飛び、3月まで北米ツアーを続ける。