バンクーバーのアートギャラリー前(750 Hornby St. Vancouver)で5月27日、廃棄寸前の食材を利用して5000人に無料のランチを提供するイベント「Feeding the 5000」が開かれ、捨てられるはずだった食材で作られた料理を多くの人が楽しんだ。
廃棄予定の厚揚げを利用した「豆腐パフ、マンゴーカスタードクリーム入り」とパンを利用した「チョコレートチップ入りブレッドプディング」
イベント主催者の一人、Elaine Chengさんは「食べられるのに廃棄される食品の量は知れば知るほど驚くばかりで、何かできることはないかと考えた」と開催理由を話す。イギリスの「Feeding the 5000」主催者、Metro Vancouver、Jennifer Rustemeyerさん、North Shore Culinary Schoolなどと連絡を取り開催にこぎ着けた。「多くの人の思いと助けが素晴らしいイベントに結び付いた。捨てられるはずだった食材がレストラン並みのメニューに仕上がるということを多くの人に知っていただければ」
使用した食材はキャベツ、トマト、キュウリ、ピーマンなどの野菜、厚揚げ、ビーフなど。全て地元の食料品店やレストラン、スーパーマーケットなどから寄付された廃棄予定のもの。メニューは「ビーフバーガー、トマトチャツネとキュウリのピクルス添え」「ベジタブル春巻き」「豆腐パフ、マンゴーカスタードクリーム入り」「豆腐パフ、スパイシービーフ入り」「チョコレートチップ入りブレッドプディング」など。教え子たちと料理を担当したNorth Shore Culinary SchoolのシェフDon Guthroさんは「どんな食材が集まるかわからなかったからメニューを決めたのは2日前だ」と笑いながらも、「余り物の野菜でも工夫次第でおいしくなった」と自信を見せた。
会場には廃棄予定だった野菜を配布するコーナーも設置。曲がったキュウリや色が悪いレタス、先が変色しているネギなどを見て、「これのどこが悪くてゴミなのか?」「細かく切ってしまえば形の悪さは気にならない」などと話しながら袋に詰め、持ち帰る来場者の姿が見られた。
廃棄食材のみで6カ月間暮らす様子をドキュメンタリー映画「Just Eat It」としてまとめたJennifer Rustemeyerさんも、主催者の一人として参加。Rustmeyerさんは「環境問題については知っていても実際自分で何ができるか分からない人もいると思う。食品廃棄問題はすぐ実践できることもある身近な問題なので、映画やイベントが考えるきっかけになれば」と話し、「たくさんの人が集まってくれた。問題を意識する人が増えていると感じ、とてもうれしい」と笑顔を見せた。