現在開催中のバンクーバー国際映画祭で日本のショートアニメ「Affordance」が上映された。制作者の野辺ハヤトさんも来加し、作品について語った。
人と動物の間の様な生き物が静かに繰り広げる世界を描く同作品。野辺さんは「生き物のモチーフはウサギにした。ウサギはいつもせわしなく動いており一年中性欲があると聞いた。性欲がテーマなわけではないが、いわゆる欲望に対して自然というところからウサギを選んだ」とキャラクターに込めた思いを説明。
「性別に区別はないが片方は耳が短くなっている。世の中に見えるわかりやすい弱者に対しての見方、何か欠けていることの象徴にしたかった。同じところから生まれるが違うところを持って生れて来たというものを表現したかった」とも。
18分の作品用に描いた絵は5000枚。パソコンで作った動きのラフをプリントアウトし、それをトレーシングペーパーにのせて清書。鉛筆の線がぼやけたりする効果を使い独特のタッチを出したというこだわりも。
普段はフリーランスでグラフィックデザインやイラストなどを描いている野辺さん。「仕事のかたわら自分のやりたいことを抑え切れず、イラストを時間軸で動かしアニメーションにして表現している。音楽もやっているので共に入れると、含めて自分らしさが表現できる」とアニメ制作への熱意を話す。
他のアニメ―ション5作品とともに上映された「Affordance」は、東京、渋谷のイメージフォーラム・フェスティバルで入選した縁からバンクーバー国際映画祭出品が決まった。今後は「ショートアニメというのはメジャーではないがライフワークとして作り続けていきたい。少しでも多くの人に見ていただければ」と期待する。