バンクーバーとバンクーバー島の間に位置する小島、ソルト・スプリング島で戦前からの日系移民の功績をたたえ平和の象徴にしようと、日本庭園「Heiwa Garden」の建設プロジェクトが進行している。企画・進行は非営利団体「Japanese Garden Society of Salt Spring Island」。
同島には1900年代初頭より日系人が住み始め、多い時期で約100人の日系コミュニティーが築かれていたとされる。1941年には農業、漁業を中心に営む日系移民たち77人が居住していた記録も残っている。その多くは勤勉で各分野で成功し、広い土地を持つ人たちもいたという。
第2次世界大戦開戦後、日系人の財産、土地はすべて没収され、収容所に強制移動させられた。戦後、同島に戻ってきたのはMurakami Familyの一家族のみだった。2004年Rose Murakamiさんが島のイベントで自身と家族の体験談を語ったところ、当時を覚えている島民のMearnie Summersさんら数人から人種差別の歴史を忘れずにいるため、そして、差別を乗り越えた日系人たちの功績をたたえるための「Heiwa Garden(平和の庭)」建設構想が持ち上がった。
Rose Murakamさんの体験談をまとめた『Ganbaru』の出版、数々のイベントなどの収益、寄付金から5月2日には庭園の門部分の完成式典が開かれた。しかし、資金は門の完成とともに底を突いた状態だ。今後、庭園の完成のため広くプロジェクトの意義を伝え、支援を募っていく予定。
プロジェクトのSecretraryを務めるSheryl Taylor-Munroさんは「日系移民の子孫の人たち、島の有志たち、バンクーバーで造園業を営むItoさん、Yamamuraさんなど、今までも多くの人たちの理解とサポートでプロジェクトは進んできた。多くが歴史を伝えたいという思いで、ボランティアで働いている」と話す。
サイトには同島の日系人の歴史、庭園の完成予想図などを掲載。サイトからRose Murakami さん著作「Ganbaru」やロゴ入りTシャツの購入を通して同プロジェクトを支援することも可能。