今年4月に完成した「バンクーバー・コンベンションセンター」（1055 Canada Place, Vancouver）とカナダプレースを地下でつなぐ「Harbour Concourse（ハーバー・コンコース）」が完成し、9月9日に記念式典が行われた。

　3,860万カナダドルを投入して完成した同コンコースの全長は90メートル。ブリティッシュ・コロンビア（BC）州最大のファースト・ネーションズ（先住民族インディアン）のグループ、Coast Salish族のアーティストたちによる作品9点が彩りを添える。

　今回の新コンベンションセンター拡張工事と併せて、隣接するカナダプレース（旧コンベンションセンター）もオープン以来22年ぶりに5カ月をかけて大改装。ロビーの床には、先住民アーティストSusan Pointさんよる直径10メートルにも及ぶモザイク作品「Moon Journey（月の旅路）」を埋め込んだ。

　満月、クジラの尾と背びれ、カラスの頭とくちばしをモチーフにした同作品のテーマは、数字の「4」。「春夏秋冬」「東西南北」のほか、すべてのファースト・ネーションズにとって重要な意味を持つ「四要素（＝土・風・火・水）」を象徴しているのに加え、「地球上のいたるところ（＝四方）から多くの人が集まる場所」という意味が込められている。

　式典では、マスクィーム族を代表してLarry Grantさんが伝統に基づいた儀式を行い、同施設の安全と今後の発展を祈った。「古くから続いてきた自分たちの文化や伝統が現代のバンクーバーの人たちに認められ、先祖にゆかりのあるこの土地に建つ建物の中に展示されるのは大変喜ばしい」（Larryさん）。

　ゴードン・キャンベルBC州知事は「新しく完成したコンベンションセンターは、これから何千人、何万人という人たちが訪れることになり、BC州にとって計り知れない経済効果をもたらすだろう」と話し、「2010年の冬季五輪開催まであと150日余り。世界中から集まる1万人以上のメディア関係者が、BC州、そしてカナダという国がどんなに素晴らしいところかをこの場所から発信するための準備が整った」と満面の笑みを浮かべた。