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OKギフトショップ、バンクーバーに誕生から40年-大橋巨泉さん「OKギフトは僕の分身」

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きっかけは11PM

 1965年から約24年にわたり日本テレビ、読売テレビで交互製作されたテレビ番組、「11PM」。日本初、深夜の時間帯に月曜~金曜まで週末以外毎日放送する「深夜のワイドショー」は大橋巨泉さん、愛川欽也さんなどが司会を務め、人気番組として世の男性ばかりか、女性のファンもとらえた。その番組内でBC観光局とCanadian Pacific Airlines(現在のエアカナダ)の協力を得て、カナダの自然・魅力を紹介するために大橋巨泉さんが取材に訪問したことがOKギフトショップ誕生のきっかけ、「カナダとの出会い」となったのだ。


大橋巨泉さん(以下、大橋さん) 

とにかく『広い』、『空気と水がおいしい』という印象が濃かったです。(当時)高度成長で公害に悩んでいた東京から来たので、特に強くそう感じました。街もニューヨークやロスと違い、高層ビルもなく、すぐ目に入ったのは「ホテルバンクーバー」の緑の屋根。ホテルの14階のレストランからの眺めは素晴らしかったです。今は隣のビルの窓しか見えないでしょうが…。あれから40年、普通のメガシティーになってしまいましたね。」

OKギフトショップの「O」は大橋さん、「K」は…

  11PMに出演するゴードン門田さん(左)

 バンクーバーでの取材では後にビジネスパートナーとなるゴードン門田さんとの出会いがあった。カナダ連邦政府の東京事務所から番組で放送するカナダ旅行を紹介するためのガイドを依頼されたゴードンさん。「1960年後半~70年は海外旅行ブームだった。アメリカはベトナム戦争後で荒れている時期ということもあり、カナダは日本からのツーリストの誘致を始めたころでした」(ゴードン門田さん)。当時旅行業を経営していたゴードンさん。まだ日本人の知らない、魅力溢れるカナダを大橋さんと共に、バンクーバーはもちろん、ビクトリア、ジャスパー、バンフなどから次々と紹介、分厚く、魅了あふれるカナダワールドのときめく本をひもといていった。

大橋さん 「ゴードンさんは日英両語を完璧に話すので驚いた。彼が38歳、僕が37歳。長いモミアゲが印象的で、なかなかハンサムでしたよ。」

 11PMでのカナダ特集は視聴者から大反響を呼び、第2弾、第3弾と展開、さらに人気に拍車をかけていった。その間、大橋さん、ゴードンさんは変わらぬ友情を育み、それが後にOKギフトショップを一緒にオープンすることにつながった。OKギフトショップの「O」はもちろん大橋さん、「K」は門田さんの頭文字から。みごとな二人三脚の歩みなのだ。

芸能人からビジネスマンヘ

大橋さん 「ビジネスをする気など全くありませんでした。でも、当時のバンクーバーは大変不便で、日本語も通じず、日本円も使えず、番組にクレームが来たのです。ある友人に商売することを勧めてみたのですが、断られました。当時の飛行機の便数では採算がとれなかったので、当然でしょうね。仕方ないから自分で始めてみようと思ったのです。(最初は)日本食レストランならやってもいいと思い、ゴードンに相談したら『もう遅いです。市内に2軒もあるから』といわれました。今は100件以上あるでしょう。笑い話ですよ。そこで、先ほどのクレームを思い出し、ギフトショップを開くことに決めたんです。」

 レストランのアイデアに関してゴードンさんは「やはり飲食店はオーナーがシェフとして切り盛りするからこそ、良いメニューを提供することができ、繁盛する」という考えがあり、そうしたことも踏まえて反対をしたという。

「将来こんな所に住んでみたい」-だからビジネスの拠点はバンクーバーに

大橋さん 特にサイドビジネスをする気など全くありませんでした。ただ、カナダ、特にバンクーバーという土地に魅せられていたのは確かです。11PMを始めて5年を経て、色々な所へ行きましたが、『将来こんな所に住みたい』と思ったのはバンクーバーが初めてでした。」

 今でさえ、バンクーバーは数年連続で「世界でも最も住みやすい都市」に選ばれていることは知られているが、大橋さんは40年前からカナダ、バンクーバーの魅力をいち早く体験していたのだった繰り返すが、体験に至るその先見性、先取りの確かな目利きは回転抜群の司会者ならでわの天賦の才もあるに違いない。

オープン当初はいつ倒産してもおかしくない状況

 OKギフトショップは1973年にバラード駅前にオープン。しかし、冬の閑散期における観光客の激減で店舗存続の危機に。

バラード駅前店にて

大橋さん 「当初、1973年は全く経営にはノータッチ。ゴードンと店長、店のスタッフ(といっても3人)に任せきりで、僕は単に日本からお金を持ってくるだけでした。最初の2年は明日、倒産してもおかしくない状況が続きましたが、75年の夏に突如、カナダ旅行ブームが起こって、危うく救われたのです。76年にバンフ店、86年にナイアガラ店と事業を拡張するにつれ、店の経営に積極的に関わるようになりました。21世紀の世界的不況に入ってからは特に経営に気を使っています。」

 87年にはアルバーニストリートに本社ビルを建設し、バンクーバー店を移転。バブルの波に乗って好調なセールスを記録した。現在の約20倍もの売上げがあったという。しかし、2008年には世界不況の煽りも受け、本社ビルは売却。現在のペンダーストリートに移転した。

1980、90年代の人気お土産品は?

飛ぶように売れた毛皮のコート

メープル金貨

 ビーバーの毛皮が飛ぶように売れた。本社ビルは「ビーバーの毛皮で建てた」といわれたほど。そのほか、有名ブランドのバッグ、衣類も人気に。現在は有名ブランド直営店がダウンタウンの至るところで見かけるが当時はそのような店がなかったからだ。メープル金貨も売れ筋ギフトの一つだった。

 トレンディードラマの影響でカウチンセーターにも人気が集まった(2000年頃)

ニュージーランド、オーストラリア南半球にも出店

 その後も1987年~1995年にかけてニュージーランド、オーストラリアに4店舗を展開。OKギフトショップの知名度を更にアップさせた。オーストラリアはハワイに対抗して直行便を増やしたため、売上げもそれに伴い上昇した。

現在のカナダ売れ筋ギフトとは?

カナダの定番お土産品

 80年、90年代の昔に比べて、「お客様の要望の幅は広くなった。お土産をもっと身近に自分のために買う人が多くなった」(バンクーバー店スタッフ)。

「キビアック」のセーター

ドリームキャッチャー

 「ワンストップ・ショッピング」-色々な種類のものを取り扱わなくては客のニーズに応えることはできない。バンクーバーダウンタウンのギフトショップでは同店でしか取り扱っていない「スモークサーモン」、実際にカナダの先住民が制作するパワーストーン入りのドリームキャッチャー、ジャコウウシ「キビアック」のセーター(抜け落ちた毛のみで作られるセーター)などと、品揃えはもちろん、同店でしか買い求めることができない商品の開拓を常に追及している。

40年経った今も変らぬカナダの魅力

大橋さん 「やはりカナダの魅力は大自然。おいしい空気、おいしい水です。その上、東洋人の移民のおかげで食べ物がおいしくなりました。和食・中華に限らず、最近はベトナム料理がおすすめですね。あと、他の欧米大都市に比べると安全性が誇れると思います。」

大橋巨泉さんにとってOKギフトショップとは?

 大橋巨泉さん夫妻

大橋さん 「1990年に全レギュラー番組を降板して『セミ・リタイヤ宣言』をしました。それが可能になったのは、OKギフトの経営があったからです。僕の名前を冠している以上、それを汚さないで欲しい―それだけを言ってきたおかげで、40年間大きなトラブルもなくやってきました。

今やニュージーランド(オークランド、クイーンズタウン)、オーストラリア(ケアンズ、ゴールドコースト)を含め7店になりましたが、何といってもカナダで始めた企業です。
今では僕の分身ですね。生きている限り、体が動くうちは毎年夏はバンクーバーで暮らすつもりです。」

-大橋巨泉

 2013年新年から40周年を祝うイベントや様々なキャンペーンを予定しているOKギフトショップ。司会者、エッセイスト、ゴルファーなどとして活躍、人々の住む世界、境界を超えて人生をふくよかにし、人々に夢を与え続けてきたそのサービス精神はいささかも衰えることはない。さて、筆者も今年で40歳を迎え、OKギフトショップの軌跡には大いなる親近感を抱いてしまう。

キャンペーンには1973年生まれの人は40%オフの特典もあるとか。。50周年には半額になるのでしょうか、大橋さん。大橋さんはその時には何と88歳、喜寿だ。めでたい。それも楽しみに歳をとることにしよう。

OKギフトショップ
バンクーバー店
100-1155 West Pender Street. Vancouver BC
TEL 604-689-5513

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