RSBAは1991年に設立されたNPO法人で、主にBurrard St,からJervis St,の3ブロック間の活性化に力を入れている。Jervis St,より西はウエストエンドビジネス協会(West End Business Association)、Burrard St,より東はダウンタウンビジネス協会(Downtown Business Association)が管轄している。
これらのビジネス向上協会(Business Improvement Association、以下BIA)は、商店街の活性化を目的として、店舗同士で作ったNPO法人で、日本の商店街連合とほぼ同じ目的で作られた組織。しかし店舗からの組合費用だけでは限界もあり、現在のBIA予算は各地域の市役所が決定している。バンクーバーには20件のBIAが存在し、2006年の支出費は$5,878,156。観光やビジネス活性化のために使われている。ちなみにBC州では53件のBIAが存在し、BC州初のBIAはガスタウンビジネス協会(Gastown Business Association)で、1989年に設立された。
RBSAはバンクーバーで最も小さいBIAだが、バンクーバーで3番目に大きい市場を管轄している。このRSBAの中心的役割は、Unique(独特)、Diverse(多様)、Comfortable(快適)な商店街であるというロブソンのイメージを構築、それを強くアピールしていくことが目標であり、現在、4つの試みを行っている。
Street Clean Program:RSBAの雇用した守衛が、水曜から日曜、ロブソン通りを清潔に保つよう尽力。
Decorative Lighting:1992年からロブソンの照明を担当。木々にライトを飾りつけ、ロブソンの良い雰囲気作りに貢献。
Power Washing:毎年春に歩道を洗い流し、夏に向けて清潔感ある歩道を供給。
Innovative & Creative Banners:1991年から革新的なバナーを飾ることでロブソンのイメージ作りに貢献。
他にもカナダ・デー(7月1日)やクリスマスイブ(12月24日)などの祭日に特別イベント開催の企画運営を行う。
ロブソンストリートは最高のファッション店、多様なレストラン店等が軒を連ねるバンクーバーで最も有名なショッピングエリア。バンクーバーの人々にも、観光客にも人気の通りである。ロブソンのBurrard St,からJervis St,の3ブロックで、39の企業、222のビジネスが存在し、1日に3,900人が労働に従事している。またその徒歩圏内には、7万9千人以上が住んでいる。
ビジネスの形態としては、アパレル、アクセサリー、飲食店等の小売業が多い。約7割(69%)を小売業(Retail)が占めていて、バンクーバー市内の24%、メトロバンクーバーの25%と比較しても、かなり高いシェアを占める。その69%の内訳で最も多いのが、アパレル&アクセサリー41%(バンクーバー市の9倍)、飲食業29%(バンクーバー市の2倍)、雑貨屋(土産店等)21%、食料品店5%となっている。
(地域別ビジネスタイプ-BIA提供資料)
・ビジネスの規模
5~20人の従業員規模の会社が44%を占め、5人以下が33%を占めるなど中小企業が多勢を占める。ただ、下記の6社のように100~249人規模の大企業も存在する。
・Banana Republic
・Air Games Wireless
・Earl’s Restaurant
・Pacific Palisades Hotel
・Blue Horizon Hotel
・The Keg Restaurant
2003~2008年のビジネス成長について、カナダ統計局のデータから分析すると、ロブソンでの成長率(新規企業数増加割合)は11%となっており、バンクーバー市の平均成長率30.5%、メトロバンクーバーの平均成長率25.6%と比較すると、かなり低い。今まではバンクーバーの顔を担っていたロブソンも、メトロバンクーバーにおける人口増加の影響などもあり、郊外地域の成長率までは届かないといったところだろう。
業種別に見てみると、飲食業、ファション&アクセサリーといった小売店がロブソンを牽引しているのが分かる。
(店舗の商業成長率-カナダ統計局提供資料)
店舗を出す場合のリース料は、バンクーバーの中で最も高い場所として知られている。1平方スクエアフィート で200カナダドル以上である。2009年初めは経済状態が厳しいにもかかわらず、ロブソンでのリース料は相変わらず高く、空室率も低い状態にあり、ビジネスにとって人気の高い場所。
RSBAのTomorra氏は今後のロブソンについて、「ロブソンは現地の人にも、観光客にもバンクーバーで最も人気の高いショッピングスポット。世界同時不況の影響で、バンクーバーの観光客の数は減少したが、RSBAの店舗では1日約5万人が働き、約8万人の住民に対して活気のあるビジネスを提供し続けている。来年の1月~3月には、オリンピック開催でロブソンストリートは歩行者で最も賑わう場所の一つになることは間違いない。毎晩数千人が飲み歩き、空間や音楽に酔いしれて、RBSA企業のビジネスに多大な貢献をしてくれるだろう」と話す。
また居住者や労働者数の増加同様、安定したアパレル&アクセサリーの購買力は下記分野への潜在的成長も促すとのこと。
・高級ファッション店の継続的成長と再生
・家庭用品や家具
・金融関連
・人材関連
・様々な修理店
「RBSAは今後もロブソンでディナーやエンターテイメントを楽しむ顧客を増やせるよう尽力する。このエリアのビジネス環境は、1つの場所で幅広い楽しみを多くのお客に提供できるため、高い集客力を持つ。Burrard St,より東のDVBIA管轄の成長するエンターテイメント地域に隣接するロブソンは、将来も今までのビジネス形態を維持するであろうし、今後も維持できるよう支えていきたい」(Tomorra氏)。
ロブソンに店を構える店舗のオーナーやマネジャーの声も聞いてみた。
※質問内容
A:何故、ロブソンストリートに店舗を開いたか?
B:ロブソンに店舗を開いて良かった点は何か?
A:ロブソンはバンクーバーの中心地。コンサートやスポーツイベントを楽しんだ後に「ちょっと一杯」というお客様にご利用いただきたくロブソンにオープンしました。
B:ロブソンは人通りが多いので、立ち寄っていただくお客様が常に多いです。また口コミでお店のことを知りご来店するお客様も非常に多く満足しています。
A:ロブソンキャンパスはダウンタウンバンクーバーの中心地にあります。ここにはシャネル、ルイヴィトン、ティファニーなど世界各国からの名ブランド商品が集まっています。有名なサロンなども勢揃いです。このような環境は学生たちにとって、インターンシップや就職に関係して、無限の可能性を提供してくれると言っても過言ではないと思い開校しました。
A:ロブソンはバンクーバーで一番賑やかな通りとして知られている。観光客が世界各国から集まり、レストランやブティックはいつも賑わっています。そして、ロブソンには大きなブランド店やチェーン店がたくさん並んでいます。そこにあえて小さい、さまざまなブランドを集めた洋服店を開く事にしました。バラエティーにとんだ、個性的なファッションを求めているお客様にはぴったりだと思ったからです。
B:ロブソンは観光客が多いので、世界各国からのお客様に来店していただけます。北米はもちろん、ヨーロッパやアジアからのお客様に気楽にご来店いただけるのは大きなメリットだと思っています。
A:ロブソンはバンクーバーで一番トレンディーな商店街です。流行の最先端を誇る洋服店、レストラン、ギャラリー、カフェなど、ダウンタウンの中心地にふさわしいお店ばかりが並んでいます。このような環境をお楽しみいただきたくロブソンに支店を開きました。
A:ロブソンは歩いている人の目的、人種、国籍、貧富、などの「違い」の幅がとても大きいと感じます。そして情報の中心地でもあります。つまり世界中の人の生活の一部にラーメンを組み込めるチャンスでもあります。ラーメンならではの楽しみ方をロブソンから発信していきたいと思っています。
B:ロブソンは情報発信の中心なので、成功すれば大きなフローを作る事が出来ます。しかし長期的で大きなビジョンが持てなければ、やっても意味がない場所です。「自分たちは企業集団として、この先の何に向かっているのか?」を考える事が大切だと思います。そうでないと時間の無駄で、ここで働く社員の人生の時間も無駄になります。
A:今も昔も人通りが多く活気があり、流行の発信地としてブランド力もあるので、どうせやるならダウンタウンの中心のロブソンストリートでやろうという事で、店を構えました。
B:ロブソンは知名度もあり当初から集客が良かったです。ビジネス街に近く、お昼は安定してお客さんが来店します。さらにはBCプレイスのすぐそばで、イベントがある際は、大勢のお客さんにご利用して頂けます。
A:店舗オープン時、場所をどこにするのか迷いましたが、どなたでもわかりやすい場所がいいと考え、ダウンタウンのど真ん中のロブソンストリートにしました。
B:「ロケーションがいいので便利です」というお客様の声が多いです。
A:店舗オープンを考えた際に、当時はこの地域に居酒屋が少なく、新たな開拓地として大きな勝負に出てみようと思いました。今となっては、居酒屋をはじめ数多くの飲食店があり、活気のある場所として賑わってます。
B:街の中心のロブソンとあって、年中多くのお客様に足を運んで頂けます。特に夏の季節は近くにビーチもある事で人通りが増え、パティオの人気もあり、たくさんのご予約を頂きます。
2001~2006年にかけて、ロブソンの居住者は15.8%増加している。これはバンクーバー市、メトロバンクーバーよりも高い値である。高層コンドミニアムの建築ラッシュが主な要因。2021年までに、RSBA管轄エリアの人口は10万人近くなると予想されている。
・居住者の形態
女性より男性の方が多く居住しており、比率的には、男性54%、女性46%となっており、バンクーバー市の男性49%、女性51%と構成比は若干異なる。
バンクーバー市やメトロバンクーバーのように子どもやお年寄りの比率が高くなく、20~34歳の若者の比率が高い。とはいえ、平均年齢は、ロブソン39.9歳、バンクーバー市39.8歳、メトロバンクーバー39.0歳と、どのエリアも変わらない状況である。
(世代別人口率-カナダ統計局提供資料)
・人種構成
ロブソンでの人種構成を見ると、上から?English?Scottish?Irish? Chinese?Canadianと英国系が多い。バンクーバー、メトロバンクーバーでもこの5つの人種が高い比率を示すが、バンクーバー市では、中国系(Chinese)の比率が圧倒的に高くなっている一方で、ロブソンは中国系(Chinese)の比率が低い。またロブソンでは幅広い人種間の混血児も多い。東欧系の居住者は14%で、バンクーバー市(9%)、メトロバンクーバー(10%)と比較してもより多い。ロブソン単体の割合データはないが、日系人はバンクーバー全体の3%に対して、 バンクーバーダウンタウンには4倍の12%が居住しているようだ。
(人種別人口率-カナダ移民局提供資料)
・使用される言語
(使用言語率-カナダ統計局提供資料)(Non-Officialは言語がEnglishでない人の内訳)
英語が最も多い家庭言語である。中国語も28%と主要な言語ではあるが、バンクーバー市の62%、メトロバンクーバーの47%と比較すると、かなり低い値。韓国語(15%)、ペルシア語(11%)、日本語(10%)、スペイン語(7%)などはバンクーバー市、メトロバンクーバーの平均と比較しても、かなり高い値である。
・学歴
(教育水準-カナダ統計局提供資料)
ロブソンの居住者の学歴はバンクーバー市、メトロバンクーバーと比較すると、大学卒業の割合が64%と高く、バンクーバー市は54%、メトロバンクーバーは47%となっている。
ロブソンの居住者は若く、教育水準が高く、流行に敏感なトレンドセッターが多い。またシャングリラホテルのような高いレベルのマンションやホテル開発の影響もあり、購買力のある高収入の人々が増加傾向にある。またUrban FareやCanada Safeway、BC Liquor storeのような存在も、ここに住む居住者のショッピングを満たしてくれることもあり、最近の世界不況による観光客の減少を補い、ロブソン=小売の王というイメージを維持している。
ロブソンで最も古い住居をご存知だろうか?
Robson St,とThurlow St,(784 Thurlow St)に、”Manhattan Building”という建物が100年前に建てられており、この魅惑的なマンションが、ロブソンで最も古い住居。1970年には暖房もなくお湯も出ない状態だったが、昔からのテナントの手で取り壊しから守られ、現在は居住者による非営利組合の手で管理されている。昔からの建物と最新の建物が共存しているロブソンだが、今後はどのような姿になるのであろうか?
「やはり今までのようにロブソンブランドのもと、多くの人々がショッピング目的で歩き、昔からの老舗店に新しいお店が加わり、ロブソンの賑わいを盛り立てることになるだろう」(Tomorra氏)。
ロブソンのBurrard St,から東を管轄するDVBIAには、3,500件の企業やお店が加盟している。DVBIAは2012年までにバンクーバーを北米一、企業に好意的なビジネスフレンドリーの核となる地域にすることを目標に掲げている。役員は全員ボランティアでダウンタウンにビジネスを持つ人たちや住民が所属している。
その目標の一環としてまず2010年冬季五輪に向けての具体的な取り組みを5つ挙げている。
?交通手段:車・バス・電車を効率よく動かす
?コミュニケーション:オリンピックが街にどのような影響を及ぼすかをしっかりと企業に伝える
?主張:オリンピックの存在をダウンタウンで強くアピールする
?プロモーション:観光客にダウンタウンのビジネスを宣伝する
?統合:団体や企業と連携してコラボレーションする
このようにロブソンに愛着のある人々がロブソンの裏で働き、店を支えることで、より魅力あるストリートを作り上げ、新しいロブソン・ストリートブランドを育てていくことだろう。ロブソンの現状を把握して出かけることで街の魅力を再発見することになるのでは。
【ラーメン】 A:弁慶ラーメン 住所:1741 Robson St 電話番号:604-688-6980 店舗オープン:2008年1月21日 「麺」「スープ」「タレ」の自社開発準備を開始。人々が食べない所を工夫して作った「食の知恵の結晶」=「ラーメン」。日本のラーメン店にはない事に挑戦し続けるお店。 |
【ラーメン】 H:えぞ菊 住所:270 Robson St 電話番号:604-685-9466 店舗オープン:1990年3月1日 ロブソンにオープンして20年のラーメン店では最も古い店。昔ながらの作り方にこだわり、食材からギョウザまで、すべて手作りがモットー。 |
【日本料理・居酒屋】 B:北の家Guu with Garlic 住所:1698 Robson St 電話番号:604-685-8678 店舗オープン:2001年 「元気」と「活気」と「にんにく」を全面に押し出す居酒屋。日替わりスペシャルメニューが人気。その他にも、焼うどん、梅と青しそうどん、明太キムチうどんの3種類のうどんが定評。 |
【ウイークリーマンション】 C:SkytoFly 住所:819 Nicola St 電話番号:778-892-7368 店舗オープン:2006年8月28日 宿泊いただくお客様に楽しんでいただくためのあらゆるサービスを揃える。ロブソンの中心にあるウイークリーマンションで、様々な食事やナイトライフを楽しめる場所。 |
【ブティック】 D:Fusion 住所:1248 Robson St 電話番号:604-683-6238 店舗オープン:2006年10月 名前の通り、顧客のニーズに答えて様々なブランドとスタイルをミックスしたお店。オンライン販売も充実。 |
【旅行会社】 E:ナビツアー 住所:701-1155 Robson St 電話番号:604-682-5885 店舗オープン:1981年 無料インターネット、コーヒー、紅茶も用意されていて、買い物ついでに旅行のご相談をされる方も多い。 |
【アイリッシュパブ店】 F:Lennox Pub 住所:800 Granville St 電話番号:604-408-0881 店舗オープン:2000年2月 ロブソンでお店を開いて早10年。アイルランドをテーマにした独特な雰囲気漂うパブ。こだわりの素材を活かしたカナディアン料理と18種類のビールを揃える。 |
【学校】 G:Blanche MacDonald Centre 住所;460 Robson St 電話番号:604-685-0337 開校:1960年1月1日 1960年に開校し、北米のファッション界をリードする伝統のある専門学校。ダウンタウンの校舎では年間1,500人を越える生徒が学んでいる。 |