バンクーバーでは昨年から本格的な冬を前にホームレスのための臨時宿泊施設が相次いで設置されている。昨年12月中旬、キツラノエリアにオープンした4つ目のシェルター（1642 West 4th Ave., Vancouver）には現在、多くのホームレスが寒い冬を凌ぐために身を寄せている。

　ホームレスの凍死を避けるため、4カ所に緊急臨時シェルターを設置したバンクーバー市。昨年、必要性を考慮した上で設置されたキツラノのシェルターは現在満室だという。同シェルター内には、洗濯機や40人が就寝できるスペースにマットレスを設けるほか、朝食と夕食の食事サービスや医療サービス、長期住居を望む人々へのケアなどを提供し、24時間体制で運営している。

　同シェルターを運営するNPO法人MPO（Motivation, Power and Achievement Society ）のDavid MacIntyre事務局長は「シェルターに滞在している人の中には精神障害を持つ人々が多い」と話し、「住居を維持することは精神障害者にとって容易なことではなく、最終的にホームレスになってしまうケースがよくある。中でも、パラノイア（偏執病）というまれに見る精神病を持つ人々は室内で暮らすことが難しく、住居を提供しても野外で暮らすことを選ぶ傾向がある」とホームレスの厳しい状況を話す。

　2010年3月にバンクーバー市が発表したホームレスの人口は1,762人と2008年の1,576人を上回り、増加傾向にある。シェルターの数が増えたことから同宿泊施設に滞在するホームレスの数は2008年に比べて2倍に膨れ上がり、野外で暮らすホームレスは半減したという。MacIntyre事務局長は「これまで、ホームレスの住居問題に取り組んできたが、住居の確保だけでは十分ではないことが分かった。（ホームレスの人々には）継続的なサポートが必要」と話す。

　臨時シェルターは4月30日まで運営される予定。