サイモン・フレーザー大学(SFU、8888 University Drive, Burnaby、TEL 778-782-3111)は10月9日、バンクーバーで出版社を営むRobert Chaplinさんが2007年に同大のナノイメージング研究室で制作した「Teeny Ted from Turnip Town」が世界最小の本としてギネス記録に認定されたと発表した。
Chaplinさんは、同研究室のマネジャー、Li YangさんとKaren Kavanaghさんの下で集束イオンビーム装置(FIB)の使用法を学び、各ページの内容を研磨した単結晶シリコンの面に刻んで、縦0.10ミリ×横0.07ミリ、30ページの本を完成させた。物語の作者はMalcolm Douglas Chaplinさん。小さな村の収穫祭で行われた「巨大カブコンテスト」でちびっこTedが優勝するまでを描いている。
Kavanaghさんは「一文字削るのに数秒かかるので、本1冊を仕上げるのには相当の時間がかかり、商業目的での利用には現段階では適していないが、平行を保った状態で動かすことができる複数の発光設備があれば不可能なことではない。いったんシリコンに彫った状態にすると100万年以上の保存が可能」と説明する。
1万5,000カナダドル相当の同書は現在、銀行の金庫室に保管されており、読み取りには走査型電子顕微鏡が必要なため、Chaplinさんは通常の大きさの書籍としても出版することに。アメリカで立ち上げられた投資支援サービス「Kickstarter」を通して、約1カ月にわたり出版費用集めのキャンペーンを行い、1万7,000カナダドル以上の資金が集まった。今後、目で普通に見えるサイズに印刷して出版する予定。