現在開催中のバンクーバー国際映画祭で10月1日、鈴木洋平監督作品「丸」が上映され、その不思議な世界観で観客を魅了した。
第36回ぴあフィルムフェスティバルで入選した同作品。バンクーバー映画祭ではアメリカ、フランス、フィリピン、ペルーなどからの11人の監督と共に新人監督賞にノミネートされた。鈴木監督は「ノミネートの話を聞き大変驚いた。自分の作品は日本では受けないといわれることがある。海外の人は日本人とは違ったところから作品を見て評価してくれたのかも」と喜びを話す。
作品は、ある平凡な一軒家に突然現れた球体とそれを見たため停止してしまった人々、そして周囲の人々を描いていくストーリー。「SF的ではあるが家族の物語でもあり、映画制作に協力的だ」という監督の家族からヒントを得た人物も登場する。
鈴木監督は「人が驚いた時にどういう反応をするのかと考えたことがきっかけで作った。動きが静止しても思考は動いているのか、それとも思考も停止しているのか」と話し、「丸を見るというのは映画を見る行為とも似ていて、映画を見ている時も人は停止している。写っているものと見る人の関係性も考えながら製作した」とも。
驚きを含むクライマックスのシーンでは、多くの観客がまさに「停止」状態でスクリーンに目がくぎづけになっている様子が見られた。