バンクーバー市内各所のシアターで9月28日、「バンクーバー国際映画祭」が開幕した。
オープニングにはミーナ・シャム(Mina Shum)監督の「Meditation Park」を上映。監督や出演俳優らも来場した。バンクーバー出身のシャム監督が地元のイーストバンクーバーで撮影した同作品。専業主婦として夫中心の家庭の中だけで生きてきた香港からの移民女性が、夫の不倫を知ることで外の世界に出て自分のために生きることに目覚めていくストーリー。カナダで育った子どもたちとの関係や、チャイナタウンの様子、たくましくもほほ笑ましいイーストバンクーバーの住民らがリアルに、ユーモアたっぷりに描かれている。シャム監督は「バンクーバーに普通にいる移民家族の、女性の物語を伝えたかった。多くの人が共感して楽しんでくれれば」と話した。
36回目となる今年は世界70カ国以上からショート、長編、ドキュメンタリーなど365本を上映。ハリウッドやカンヌの注目作から、先住民や移民、LGBTをテーマとした作品まで多様なラインアップを用意。「将来の有望監督を見つけるならショートを見て」と映画祭が力を入れる新人監督や学生による短編作品も多数上映する。
注目作品はカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した「The Square」(リューベン・オストルンド監督)、同審査員グランプリと批評家連盟賞をダブル受賞、エイズ差別と闘う若者を描く「BPM (Beats Per Minute)」(ロバン・カンピヨ監督)、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の団員たちのドキュメンタリー「レベルズ・オン・ポワント」(ボビージョー・ハート監督)、タイの格差社会の中でカンニングを助けて稼ぐ天才高校生の物語「Bad Genius」(Nattawut Poonpiriya監督)など。クロージングにはアカデミー賞ノミネートの声も高い「ワンダーストラック」(トッド・ヘインズ監督)を上映する。
日本からは「愚行録」(石川慶監督)、「美しい星」(吉田大八監督)、「彼らが本気で編むときは」(荻上直子監督)、「枝葉のこと」(二ノ宮隆太郎監督)。日本関連作品で岐阜県、自殺防止活動に奔走する大禅寺の住職を追うドキュメンタリー「The Departure(旅立ち)」(Lana Wilson監督)などを上映する。
上映作品のスケジュール、チケットの購入方法はサイトに掲載する。10月13日まで。