同性婚のカップル3組が子育てをする姿を追うドキュメンタリー「My Dads, My moms and Me」が10月6日、開催中のバンクーバー国際映画祭で上映された。
ロシア出身でバンクーバー在住のジュリア・イヴァノヴァ監督が手掛けた同作。2005年にカナダで同性婚が合法化されたことを受け、子どもを持つことを決めたゲイの男性3人を撮影した「Fatherhood Dreams」(2007年)の続編で多様な家族の形を紹介し話題になっている。
登場するのは、ゲイであるため離婚したが、レズビアンの女性カップルとの間に子どもをもうけ週末を中心に子育てに参加している男性。血のつながりのない子どもを他州から養子に迎えた男性カップル、代理母の助けで授かった実子の双子を結婚相手と育てている男性の3人とその家族。
イヴァノヴァ監督は「以前、養子縁組のコーディネーターをしていた経験から、血がつながっていてもひどい親を多く見たし、愛にあふれる素晴らしい養親も見た。2005年の同性婚合法化により子どもを持つことを選ぶゲイの人たちが増えた。それまでは隠れた存在だった同性カップルの親と子どもの様子を撮りたいと思った」と製作の経緯を話す。
同作では子どもたちがティーンに成長。それぞれスポーツや友人など家庭の外にも興味の対象が広がり、反抗期や健康上の問題などにも直面する。父親たちが悩みながらも愛情を持って子どもに接する姿を、赤ちゃんだった頃の映像を交えながら追う。イヴァノヴァ監督は「彼らの家庭の様子や彼らが抱える問題はストレートの両親がいる家庭と何も変わらない」としながらも、「それは、ごく普通の家庭を作るために(彼らが)努力を重ねてきたから」と話す。
「LGBTというマイノリティーの人が身近にいない場合、知らないために『恐れ』を感じる人もいると思う。恐れをなくすためには知る必要がある。自分がドキュメンタリーを撮るのは知ってもらいたいという気持ちが強いから」と製作の意図を話し、鑑賞を呼び掛ける。
11日10時30分からVancity Theatre (1181 Seymour St. Vancouver)で再度上映する。