バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)構内にある「Indian Residential School History and Dialogue Centre」(1985 Learners’ Walk, Vancouver )で9月30日、先住民寄宿学校の被害者を思う「オレンジシャツ・デー」イベントが行われ、3千人を超える人が集まりキャンパスをオレンジ色で埋めた。
2013年に始まった「オレンジシャツ・デー」は、先住民の子どもたちを強制的に収容した寄宿学校(レジデンシャル・スクール)の歴史と実態を学び、犠牲者である子どもたちに思いを寄せ、生存している被害者たちとその家族への支援を呼び掛ける目的で先住民の女性が開始した全国的な運動。カナダ政府の同化政策のもと1870年代から最後の寄宿学校が閉校した1996年までに収容された子どもの数は15万人以上、うち自宅に戻ることなく死亡または行方不明になった子どもの数は約6000人とされている。近年ようやく学校跡での調査が始まり、昨年BC州内の跡地でも215人の子どもの遺骨が発見されたばかり。運動の広がりを受けて政府は2021年に同日を連邦政府が定める法定休日「真実と和解の日」とした。
イベント会場には学生、家族連れ、高齢者など3千人を超える幅広い年齢の参加者がオレンジ色のシャツを身に着けて集合。開始の挨拶をしたモスキーム族のエルダー・ドリス・フォックスさんは「自分が子どもの頃はこの様に集まることすら許されていなかったのに、今日は多くの人がオレンジ色を身に着けて支援を表し集まって下さったことに感謝している」と話した。「3、4歳の子どもが親の腕から引き離されて連れていかれ虐待を受ける生活を強いられることを想像してみて下さい」と呼び掛け「再び過ちを繰り返さないために、子どもたちの未来が幸せなものであるために、私たちは過去から学ぶ必要があるのです」と多くの人が歴史から学ぶ必要性を呼び掛けた。
集合した参加者はその後構内を「Reconciliation Pole(和解の柱)」が建てられている場所までゆっくりと歩く行進に参加した。