島根県松江市で販売、卸、加工などの水産業を営む「SOL JAPAN」が9月4日、バンクーバーで島根の魚を紹介するプレゼンテーションを地域のレストランなどに向けて行った。
同イベントは島根県出身で日本、バンクーバー、中国などですしシェフとして働く経歴を持つ荒瀬雄太さんが企画。「日本のおいしい魚の普及のため」とカナダの貿易会社「LA International Trading Inc.」が協賛し、実現にこぎ着けた。
会場となったすし店「Shu」(8099 Granville St.、TEL 604-428-1868)には日本食店、すし店のほか、フレンチ、イタリアン、タイレストランなどの経営者やシェフたち約30人が参加。競りから加工、出荷までのプロセスの説明を受け、同社からバンクーバーに出荷された魚の刺し身やすしを試食した。
今回用意した魚は島根で1週間から2週間前に水揚げ後に市場で買い付けし、同社工場で即時処理、プロトン凍結(急速電磁冷凍)後に出荷したシマアジ、ヒラメ、マアジ、キジハタ、サワラ、ノドグロ、ウナギなど。参加者のシェフの一人は「臭みが感じられず、クリーンな味、食感が良い」と話し、日本の冷凍技術やバンクーバーに到着後の処理についても熱心に耳を傾けた。
「SOL JAPAN」代表の田中真一さんは「冷凍加工技術が発達しているため、『それなら全部、冷凍食品だけで賄えてしまうじゃないか』と、日本のシェフからはあまり聞くことのない質問もあった。答えとしてはやはり鮮魚が一番。ただ、冷凍技術のおかげで鮮魚のおいしさに近い形を提供できる。旬ではない時の魚だったら冷凍加工されたものの方がおいしい時もある」とそれぞれのメリットを話す。
今回のイベントで初めて、出荷した魚がバンクーバーで客に提供されるまでを見届けた田中さん。「状態が良くとても満足している。加工度の高い魚は使ってもらえればその良さがより実感できる。自分で仕立て、発送したものを、自分自身で開封し、その品質を確認し、調理し、提供し、その様子を確認できる機会はそう多くはない。私の信念、思い、仕様は間違ってはいなかったのだと確信した」と自信を見せる。「日本の魚にとても強い興味を持ってもらえていることがとても励みになった」とも。