バンクーバーのダウンタウン・イーストサイドで行方不明になった69人の女性の顔をキャンバスに描き続けている画家Pamela Masikさんが1月29日、完成間近の全作品69点を一堂に公開し、900人以上のメディア、一般市民が来場した。
Masikさんが描く女性たちはダウンタウン・イーストサイドで消息を絶った人たち。その多くが風俗産業に従事しており、ドラッグの問題を抱え、ホームレスだった女性ばかり。1978年以降、こうした多くの女性が行方不明になりながらも警察の捜査は進まず、世間からの注目も集まっていなかった。キャンバスに描く女性のうち26人は2002年に逮捕されたRobert Pickton所有地からDNAが検出され死亡が確認されているが、殺人事件として立件しているのは6人のみ。
Masikさんは世間の注目をダウンタウン・イーストサイドの問題に集めるため、プロジェクト「The Forgotten」として、世間から忘れ去られた存在であるこれらの女性の顔を3年半かけて巨大なキャンバスに描き出してきた。当日はほぼ完成した69点を1万4千スクエアフィートの会場に一堂に展示。会場にはRobertsonバンクーバー市長、行方不明女性の知人や家族などの姿も。
Masikさんの活動を追うドキュメンタリー映画「The Exhibition」(Damon Vignale監督)のプロデューサー、山本美穂さんは「一人のアーティストが女性たちの失われた声を人々に届けようとしている。自分はその姿をフィルムに収め映画にし、より多くの人に届けたい。『世界で最も住みやすい街』と呼ばれるバンクーバーの影の部分にも目を向けてもらうきっかけになれば」と話す。
年内に完成予定の全作品は2011年2月ごろ、UBCのAnthropology Museumで展示される。