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ホームレスのモデルを追うドキュメンタリー バンクーバー国際映画祭で上映

男性モデルを追うドキュメンタリー「Homme Less」監督のThomas Wirthensohnさん(右)と取材対象となったMark Reayさん(左)

男性モデルを追うドキュメンタリー「Homme Less」監督のThomas Wirthensohnさん(右)と取材対象となったMark Reayさん(左)

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 バンクーバー国際映画祭でホームレスのモデル兼写真家の男性を追うドキュメンタリー「Homme Less」が上映され、監督のThomas WirthensohnさんとモデルのMark Reayさんが観客からの質問に応じた。

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 ニューヨーク在住のMark Reayさんはパリコレにも参加したことのあるファッションモデル兼俳優。最近はニューヨークファッションウイークなどで撮影するフォトグラファーとしても活動する。

 同作では、50歳を超えていると感じさせないほどファッショナブルにスーツを着こなしたReayさんの姿、ファッションショーの舞台裏でさっそうと撮影する様子、美しいモデルたちと楽しそうに話す現場など、華やかな世界で活躍するReayさんの毎日を描写。しかし、その後カメラは、周囲に気付かれないように緊張した面持ちでビルの屋上に上り、ビニールシートで作った寝床に潜り込む姿や朝公園のトイレで身づくろいをする様子などを映し出す。

 6年間ビルの屋上でこっそりと寝泊まりしていたというReayさん。男性モデルの収入は女性に比べると低く、写真家、俳優、エキストラなども兼業。仕事は定期的にあるがニューヨークの家賃は高額でホームレスの道へ。毎月フィットネスジムの会費、カメラやコンピューター、携帯電話の費用、食費、健康保険などを支払うのが精いっぱいだという。持ち物はジムのロッカーに収め、シャワー、洗濯、アイロンなどもジムで済ませ、朝は公園のトイレで身だしなみを整える。

 「順調に稼いでいるように見えるので」と磨き上げた良い靴を履き、周囲の誰もホームレスとは気付かない外見を保つ。友人とのパーティーや女性と楽しく過ごすなど「住んでいる所に屋根がないだけだ」と言い切るReayさんだが、真夜中にこっそりと寝床に帰る際や雨よけのシートを購入する際など不安そうな表情を見せる場面も。

 上映後にはWirhtensohn監督と共に登場。監督は「モデル時代に共に仕事をした彼をニューヨークに訪ねた際、相変わらずハンサムだしきちんと仕事をしているのにホームレスと打ち明けられ驚いた」ことから、ドキュメンタリー製作を思い付いた。「その後の調べで、ニューヨークでは多くの人が、仕事があっても貧困寸前の状態だと分かった」との発言に対し、ニューヨークと同様、住宅価格の高いバンクーバーの観客が大きく同意の声を上げた。

 ニューヨークで生活が成り立たないのに、物価の安い地方に引っ越さない理由を聞かれたReayさんは「モデル、写真、俳優と自分が自信を持ってできる仕事、自分がしたい仕事は残念ながら地方ではできない。バスですぐ家族に会える距離というのも大きな理由」と答えた。

 現在は友人の家に一時的に間借りしているといい、映画の上映をきっかけに自作の写真集の販売もできるようになったと笑顔で話したReayさん。「写真集の収益は全て慈善のため、つまり私を助けるために使われる」と購入を呼び掛け、観客から喝采を受けた。

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