バンクーバー国際映画祭のアジア部門新人監督賞、ドラゴン&タイガー賞にノミネートされ、惜しくも授賞を逃した作品「リコ」の弓場絢監督が、「またぜひ戻って来たい」と笑顔でリベンジを誓った。
同作は弓場監督が東京造形大学に在学中に卒業制作として作ったもの。構想から約3カ月、撮影に2週間ほどをかけて完成した。弓場さんは「それまでの課題と違い、初の長編、大人数で撮る映画だったので、人をまとめるという点と役者と監督という立場の切り替えに苦労した」と制作時を振り返る。
主人公の「リコ」役も自ら演じた弓場監督は「台本を書いた時点では自分が演じるとは考えていなかったが、読んでもらった友人らに『これはあなたみたい』と言われ決心した」という初めての役者経験。「自分のシーンはすんなりとできたが人と絡むシーンは難しかった」と感想を話す。
「おじさんと若い女の子が同居生活を始めるという話。2人の人間関係を描きたかったので、(恋人同士、親戚など)関係性は分かりやすいものにしたくはなかった。何かが起こるわけではないが、生活の中の小さいことを描いて、人の変化や人と人との関係性を描いている。そういう所を見てほしい」(弓場さん)。
弓場さんは映画を「やればやるほど分からない物」と表現。好きな映画監督にクエンティン・タランティーノ監督を挙げ、「同じような映画を撮りたいわけではないけど、あのようなパワーのある作品は憧れる」と話す。「バンクーバー映画祭ではそれぞれの人が違ったシーン、違った点について映画の感想を話してくれる。いろいろな所を見てくれる人がいるのだと勉強になった。良い経験をさせてもらったので、またぜひ戻って来たい」と笑顔を見せた。