バンクーバー美術館(750 Hornby St. Vancouver、 TEL 604-662-4719)で2月3日から、「村上隆展『タコが己の足を食う(The Octopus Eats Its Own Leg)』」が始まった。
初期の絵画作品から彫刻、バンクーバー展のために制作された作品まで50点以上を展示。タイトルに込めた意味について村上さんは「過去の自分の作品やキャラクター、モチーフなどを何度もリサイクルして新しいものを作っている」と説明。「才能が欠けているのでサバイバルするために自分の身を食べてリサイクルしているように感じる」と謙遜気味に話す。
同館吹き抜けエントランスには高さ2メートルを超える巨大な彫刻を設置。美術館の2階全体を使った会場には、1980年代の現在とは色調が全く異なる絵画作品からカラフルな現代の作品までを展示。壁一面を覆う大型の作品も多く、「阿吽(あうん)」をテーマにした巨大彫刻や「DOB君」、「カニエベアー」などおなじみとなっているキャラクターも展示する。
2011年の東日本大震災が与えた影響が反映されている作品なども見られるが、「アーティストに社会的なメッセージを伝える力はなく、できるのは作ることだけ」と言い、「アーティストは人間の深いところを掘り起こすのが仕事だと思う。将来、作品を見た人たちに何かを伝えられたら」と作品に込める思いを話す。
メディア向けプレビューイベントが行われた2月1日は村上さんの56歳の誕生日でもあり、会場ではバンクーバー市長代理から同日を公式に「Takashi Murakami Day(村上隆の日)」とするとのサプライズ宣言も行われた。
開館時間は10時~17時(火曜は21時まで)。入場料は一般=24カナダドル、シニア(65歳以上)=20カナダドル、学生=18カナダドル、子ども(6歳~12歳)=6.50カナダドル。5月6日まで。