「バンクーバー国際映画祭(Vancouver International Film Festival)」が開催されている中、日本映画「ぴゅーりたん(英語題=Left Out)」が2回上映され、佐々木想監督が上映後取材に応じた。
同作品は廃品回収業に就く男の淡い恋心を中心に、さまざまな過去や人間関係を抱える登場人物たちの心の動きを描く。主要人物はどれも世間ではさえないとされている人たち。劇中多く登場するのは身寄りも無く亡くなっていった人たちの部屋。しかし、後半に向かいエネルギーを増していくストーリー展開となっている。佐々木監督は「自分が感じている世界、人間の心の複雑さと混沌(こんとん)を描きたかった」と話す。
タイトルの「ぴゅーりたん」は映画中に重要なキーとなるビデオのタイトル。佐々木監督はタイトルの由来について「『ぴゅーりたん』と言うと『何それ?』という反応が返ってくる。歴史の清教徒とは全く関係なく、とにかく語感重視で決めた。英語題は自分一人で考え付いたのではないが、『Left Out』というのも登場人物の状況をよく表していると思う」と話す。
撮影については「予算、期間、人手などが限られているので、衣装選びなどは自分で古着屋を回って探した。作品を見直してみて、手が回ってないところなども目に付いたので次回作の参考にしている」と振り返る。次回作は「60代の女性を主人公に団地を舞台にした作品を企画している。今回の作品で学んだ事を生かし、ストーリー展開を分かりやすくし、より多くの観客を引き込む作品を作りたい」と意気込みを話す。
同作品は「第31回ぴあフィルムフェスティバル」でPFFアワードにノミネートされ、バンクーバー国際映画祭でもアジア映画新人監督賞の「ドラゴン&タイガー賞」にノミネートされた。