2010年バンクーバー・パラリンピックで日本代表が内定しているチェアカーリング「信州チェア」チームがバンクーバー市とリッチモンド市で11月21日~23日、合宿を行った。
チェアカーリングは2006年トリノ・パラリンピックから正式競技となり、日本チームの参加はバンクーバー・パラリンピックが初。中島洋治選手(スキップ)、比田井隆選手(セカンド)、市川勝男選手(サード)、斉藤あや子選手(リード)の「信州チェア」に加え、リザーブとしてチーム埼玉の小川亜希選手が出場する。
信州チェアは2004年に発足して以来、同じメンバーで日本選手権を5連覇する「安定感があり、動じない、経験豊富なチーム」とチェアカーリング協会の金子恵美さん。「近年、選手の技術向上により、テーク、ドローどちらも健常者と同じレベルにあり、競技性が重視されるようになった。日本チームにもメダルの可能性はある」とも。
バンクーバーの練習環境については、「施設が立派で、それに見合う多くの人が楽しんでカーリングをしているのに驚いた」(市川選手)、「カーリングもチェアカーリングも施設など環境が日本と大きく違う。さすがチャンピオンが生まれる国。このような環境に恵まれれば」(比田井選手)と今後の日本のチェアカーリング発展にも期待を寄せる。
合宿について、「氷によって曲がり具合、滑り具合が違う。初めてのアイスに素早く適応するトレーニングになった」(市川選手)、「成果は今すぐには出ないが、足りないものを見つけることが重要。課題は多くある」(内堀勝司監督)と振り返る。
チェアカーリングは男女混合競技。スウィーピング(アイスをブラシでこする)動作を行わないところがカーリングとの大きな違い。車いすは動かさず、キューというスティックを使ってストーンを投石する。市川選手は「スウィーピングがない分、ストーンの行方がはっきり見える。何が起こっているのか見やすいのでゲーム性を楽しめる」と話し、内堀監督は「静けさの中で熱く闘志を燃やし戦うゲーム運びもまた一つの見どころ。この姿を見て何でもできると思ってもらえれば」とも。
五輪出場者最高齢になるのではといわれる75歳の比田井選手は「年寄りだったからと言われないよう、皆の足を引っ張らないように頑張りたい」と謙虚な姿勢をみせる。
パラリンピックでは、「初めて観戦する方は細かいところは分からないかもしれないが、止めなくてはいけない時にストーンが止まった時は驚くのでは。面白みを発見してほしい。海外で日本語を聞くと非常にうれしいし励みにもなる。いいショットが出たら拍手して応援してもえれば」(同チーム)と地元の声援にも期待を寄せる。
目標は「上位入賞。メダルも目指す」(同)。